以前、陽極電圧計だけが振れてその他の陽極電流計、格子電流計が振れない場合の話しをさせていただきましたが、
今回は『陽極電圧計が振れない!』ときの話しをしたいと思います。
(※陽極電圧計は、アノード電圧計と書かれている場合もあります)
さて、電子管式の高周波発振機には高周波の出力を示す3つのメーター(陽極電圧計、陽極電流計、格子電流計)が
設置されていることは、前にも書きました。
今回見ていく陽極電圧計は、他のメーターとは少し異なっています。
それは発振していなくても振れるメーターだということです。
下図は、一般的な発振機の発振回路までのブロック図ですが、
右上に『陽極電圧計』が出ています、これが振れない状況を考えていきましょう。
まず、現象から探っていくと、 他の 2つのメータ(陽極電流計、格子電流計)は振れているのか?
それとも振れていないのか?
A) 他のメーターは振れている
陽極電圧計だけが振れずに他の2つのメーターが振れている場合は、
上図の「高圧整流素子」とかかれた部分より上側の部分の問題と考えてほぼ間違いないと思います。
つまり、陽極電圧計を振らせる回路だけがおかしいということです。
「陽極電圧計は振れていないが加熱は出来ている」という状態です。
他のメーターとは異なると上で書いたのは、「発振の状態に関わらず振れたり、振れなかったりする」という点です。
さてそれではチェックポイントを順番に見ていきますが、可能性として下記の3通りが考えられます。
- 陽極電圧計自身がおかしくなってしまっている
- 分圧抵抗がおかしくなってしまっている
- 陽極電圧計回路がどこかで断線してしまっている
上記のいずれかと考えられますので、
- 陽極電圧計を単体でテストしてみたり
- 抵抗器の値をしらべたり
- 高圧整流素子から陽極電圧計までの配線を確認したり
- 陽極電圧計からアースまでの線を調べたり
上記の内容をチェックすることで異常箇所が見つかるはずです。
え? まだ、陽極電圧針の針が振れない?
それは興味深い! お手数ですが、是非 是非 ご連絡下さい → メール
B) 他のメーターも振れていない
陽極電圧計だけでなく、他のメーターも振れていない場合、この状態で考えられるのは次のようなことです。
- 三相の電圧が供給されているか?
- メインブレーカーは正常に動作しているか?(一次側、二次側の電圧を確認して下さい)
- 電磁開閉器は正常に動作しているか?(一次側、二次側の電圧を確認して下さい)
- サイリスターもしくはスライドトランスの2次側から正しい電圧が出力されているか?
- 陽極トランスの一次側に正しい電圧が出力されているか?ここまで正常であれば、後は高圧回路になってくるので安全の為 一次側の電源を切断した状態で確認していく方法で見ていきましょう。
- 陽極トランスの2次側の配線に断線がないか?
- 発振機によっては、陽極トランスの2次側に突流防止抵抗が入り高圧整流素子につながるものもございますので、突流防止抵抗に以上がないか?
- 高圧整流素子までの配線に断線がないか?
ここまでで異常が無く、3つのメーターが振れない場合、複合的な異常であると考えられます。
高圧整流素子までの回路で異常ないのであれば、陽極電圧計は必ず振れるはずなので、陽極電圧計回路が異常である可能性が高いでしょう、なので まず上記の『A) 他のメーターは振れている』の項目をチェックして下さい。 おそらく陽極電圧計が振れない状況は、解消されるか目処が立つと思います。
陽極電圧計が振れるようになれば、次は「どのメーターが振れないのか」によって、対処の方法が変わってまいりますので 『緊急事態!! 陽極電流計と格子電流計が振れません!』を参考にチェックをしてみて下さい。
また、ご不明な点ございましたら、弊社までお電話(075-922-7980)か 下記より お気軽にご連絡下さい。